
Xから来てくださった方へ。
「中学受験のアレコレ」では、中学受験を中心に、教育、進路、お金、学校選びについて発信しています。
ただ、Xの投稿では文字数の関係もあり、どうしても書けることには限りがあります。
このページでは、Xで多くの方に読んでいただいた投稿について、そこで書ききれなかったこと、その後どうなったのか、実際に経験してみて今どう思っているのかをまとめていきます。
我が家には、中学受験を経験した長男と、高校受験を経験した次男がいます。 長男の中学受験からはすでに10年以上が経ち、大学受験、その後まで見てきました。
ここで書いているのは「中学受験はこうすべき」という正解ではありません。 あくまで一家庭の実体験です。
ただ、受験の真っただ中にいるときには見えなかったことも、10年以上経った今なら少し違って見えます。
第一志望に落ちて、偏差値40台の私立中へ進んだ話
このテーマについて、Xでこんな投稿をしました。
「失敗組」という言葉には、Xでも「親が子どもの受験を失敗と呼ぶべきではない」というご意見をいただきました。
これは本当にその通りだと思っています。
「失敗」と感じていたのは、少なくとも当時の親である私です。
第一志望に合格することを目標に何年も勉強してきたわけですから、不合格という結果を見た直後に「よかったね」と思えるほど簡単ではありませんでした。
しかも、合格をいただいていたのは、当時の模試では偏差値40台だった私立中学校です。
「この学校へ行くために、ここまで受験勉強をしてきたのだろうか」
そんな気持ちがなかったと言えば嘘になります。
地元の公立中学校へ進み、3年後に高校受験でもう一度挑戦する選択肢もありました。 かなり迷いました。
それでも最終的に、我が家は合格をいただいた私立中学校へ進むことを選びました。
そして今、その選択から10年以上が経っています。
中高6年間、大学受験、その後まで見た今、「あの中学受験は失敗だったか?」と聞かれたら、私の答えは違います。
受験の結果は2月に出ます。 でも、その学校へ進んだことがよかったのかどうかまで、2月の時点では分からない。
これは、実際にその後まで見て初めて分かったことでした。
第一志望ではなかった学校が、卒業後も帰れる場所になった
その後、こんなことがありました。
これを見たとき、親として少し不思議な気持ちになりました。
入学するときには、第一志望でもなかった学校です。
それどころか、受験直後の親の私には「ここへ進学して本当にいいのだろうか」という迷いさえありました。
ところが6年間通い、卒業して何年も経った今、その学校は長男にとって「また行きたい場所」になっています。
受験のとき、親はどうしても偏差値や大学合格実績を見ます。 もちろん、それらも大切です。
でも、中高6年間は大学へ進むためだけの時間ではありません。
友達ができ、先生と出会い、部活動や学校行事があり、思春期の多くの時間をそこで過ごします。
「卒業したあとも戻りたいと思える学校だったか」
これは学校選びのときには数字にできません。
でも、10年以上経って振り返ると、案外こういうことの方が大きかったのかもしれないと思っています。
24歳になった長男に「中学受験してよかった?」と聞いてみた
長男が24歳になったので、本人にも聞いてみました。
これは私にとって、かなり印象に残る答えでした。
親である私は、どうしても「大学進学」や「学力」のような分かりやすい成果を考えてしまいます。
ところが本人が最初に挙げたのは、大学名でも偏差値でもなく「環境」でした。
中学受験をするかどうかを考えていた当時の私は、そんな10年以上先の本人の答えまで想像できていませんでした。
もちろん、私立中へ行けば必ずよい環境が得られる、という話ではありません。 学校によって校風も違いますし、その環境が本人に合うかどうかも違います。
だからこそ、学校選びでは偏差値だけではなく、 「この学校の6年間が、この子に合っているだろうか」 を見ることが大切なのだと思います。
中学受験から私立中卒業まで、わが家ではいくらかかったのか
Xで大きな反響があったのが、お金の話でした。
中学受験のための塾代から、私立中学校3年間まで。
我が家で実際にかかった金額を合計すると、約653万円でした。
こうして数字にすると、改めて大きな金額だと思います。
我が家は、教育費をまったく気にせず出せるような家庭ではありません。
塾代だけを見て中学受験を始めても、その後には入学金、授業料、施設費、教材費、交通費などが続きます。
そして私立中高一貫校であれば、当然その先には高校生活もあります。 さらに大学受験、大学進学もあります。
中学受験は「受かるかどうか」だけを考えがちですが、 合格したあと、その教育費を家庭として無理なく払い続けられるか も、かなり重要です。
だからといって、「お金がかかるから中学受験をしない方がいい」という話でもありません。
我が家自身、実際にそれだけのお金がかかりましたが、10年以上経った今、中学受験そのものを後悔しているわけではありません。
大事なのは、金額を知らないまま走り始めないことだと思っています。
中学受験は「親の受験」だった――小6の家庭はこう変わった
中学受験で大変だったことは、勉強だけではありませんでした。
最後の半年は、ほぼ毎日塾。
夜9時頃まで自習室で勉強することもありました。
親は弁当や水筒を用意し、送迎をし、模試や説明会の予定を管理し、志望校を考え、直前期には大量の過去問をコピーする。
「中学受験は親の受験」と言われる理由が、やってみてよく分かりました。
我が家でも、小6になると家庭全体が少しずつ「受験仕様」になっていきました。
休日も模試、学校説明会、過去問。
子どもの予定を中心に、家族のスケジュールが組まれていきます。
特に直前期は、親がやれることが山ほどあります。
だから「親の受験」と言われるのだと思います。
ただ、今になって一つ強く思うことがあります。
親が代わりに受験するわけではありません。
一番大変なのは、やはり子どもです。
親の役割は、子どもを必要以上に追い込むことではなく、子どもが最後まで走れるように家庭の環境を整えることだったのだと思います。
中学受験と高校受験、親にとって大変なのはどちらか
長男で中学受験、次男で高校受験を経験しました。
中学受験は「親の受験」。
親がやることは多い。でも、その分ある程度コントロールできます。
高校受験は「子どもの受験」。
親がやることは減ります。でも、その分コントロールできません。
中学受験は「忙しいから心配」。
高校受験は「手を出せないから心配」。
「高校受験の方が親はラクなのでは?」と思っていました。
たしかに、弁当を持たせて毎日のように塾へ送り出したり、親が過去問を管理したりするような作業は減ります。
ところが高校受験には別の大変さがありました。
相手は思春期です。
親が「勉強した方がいい」と思っても、親の言う通りには動いてくれません。
中学受験では「やることが多くて心配」だったのが、高校受験では「何もできなくて心配」に変わりました。
結局、どちらがラクということではありませんでした。
親が心配する場所が変わっただけ。
両方経験した今は、そう感じています。
偏差値だけでは選べない――「自由な学校」と「管理型の学校」
学校選びで、もう一つ強く感じていることがあります。
それは、偏差値や学校名だけでは分からない「校風」です。
一般論として断定するつもりはありませんが、学校を見てきた私自身の印象では、難関校には生徒の自主性を重んじる自由な学校が多く、一方で比較的手厚く学習や生活を管理する学校もあります。
どちらが優れているという話ではありません。
自主性を重んじる学校は、自由度が高い反面、自分で動かなければ何も始まりません。
管理型の学校は窮屈に感じる子もいる一方、自分だけでは学習管理が難しい子にとっては、非常に合う場合があります。
大切なのは、
「偏差値が高い学校か」ではなく、「その学校のやり方が自分の子どもに合っているか」
なのだと思います。
「難関校に入れば安心」とは限らないと思う理由
以前、こんなことを言っていた親御さんに会ったことがあります。
「せっかく難関の名門校に入ったのに、学校が何もやってくれない」
これは学校が悪いという話ではありません。
むしろ、その学校は「生徒が自分で考え、自分で動く」ことを大切にしていたのだと思います。
でも親御さんが期待していたのは、学校が学習状況を細かく管理し、必要なことをどんどん与えてくれる教育でした。
つまり、学校の教育方針と家庭が学校に求めていたものが違っていたわけです。
偏差値表では、これは分かりません。
大学合格実績を見ても分かりません。
だから学校説明会や文化祭へ行ったときには、設備や進学実績だけではなく、
「この学校では、生徒にどこまで自分でやらせるのか」
「先生はどこまで面倒を見るのか」
「我が家は学校に何を求めているのか」
という視点も持っておいた方がいいと思っています。
私立中に進学して、一番よかったのは「環境」だった
24歳になった長男に、こんなことを聞きました。
「中学受験して私立中に行って、一番よかったことって何?」
返ってきた答えは、「環境」でした。
少し意外な答えでした。
親である私は、中学受験の結果を振り返るとき、どうしても偏差値や大学進学実績のような分かりやすいものを考えてしまいます。
でも、本人が真っ先に挙げたのは「環境」でした。
長男が進学したのは、第一志望だった学校ではありません。 第一志望に不合格となり、併願していた偏差値40台の私立中高一貫校へ進学しました。
入学当時の親の私には、
「本当にこの学校へ進んでよかったのだろうか」
という迷いもありました。
でも、実際に6年間通い、その後大学へ進み、社会人になった本人が振り返って「環境がよかった」と言う。
これは、親としてかなり印象に残りました。
私立中に進学するメリットというと、
- 大学進学実績
- 先取り学習
- 設備
- 中高6年間の一貫教育
などがよく挙げられます。
もちろん、そうしたものも大切だと思います。
ただ、実際に通った本人にとっては、それ以上に
「どんな友達と過ごしたか」
「どんな先生と出会ったか」
「周囲では何が普通だったか」
といった毎日の環境の方が大きかったのかもしれません。
中高6年間は、とても長い時間です。
思春期の大部分を、同じ学校、同じ友人、同じ先生たちの中で過ごします。
そう考えると、学校選びで本当に重要なのは、
「偏差値が何ポイント高いか」だけではなく、 「この環境の中で6年間過ごしてほしいと思えるか」
なのだと思います。
もちろん、私立だから必ずよい環境というわけではありません。
自由な学校が合う子もいれば、手厚く管理してくれる学校が合う子もいます。 活発な校風が好きな子もいれば、落ち着いた学校の方が居心地のいい子もいます。
だからこそ、学校説明会や文化祭へ足を運び、偏差値表だけでは分からない「その学校の空気」を見ることには意味があるのだと思います。
勉強ができる子にも「合う環境」が必要だと思う――いわゆる吹きこぼれの話
Xでは、SAPIXについてこんな話もしました。
「SAPIXに入れて、ついていけない子に無理やり勉強させるのはかわいそう」
この意見はよく分かります。
でも反対に、学校の授業が簡単すぎて、もっと先を知りたいのに周囲と同じ進度で待つことが苦痛な子もいます。
できない子に無理をさせないのと同じように、できる子にずっと我慢をさせないことも大切なのではないかと思います。
これは「SAPIXに行けばいい」という話ではありません。
中学受験をしなければならない、という話でもありません。
子どもによって、居心地のよい学習環境は違います。
ゆっくり考える時間が必要な子もいれば、どんどん先へ進みたい子もいます。
学校の授業だけで十分な子もいれば、学校以外に学ぶ場所を求める子もいます。
結局ここでも大切なのは、 「世間一般ではどうか」ではなく、「この子には何が合っているか」 なのだと思います。
中学受験を終えて10年以上。今振り返って思うこと
中学受験をしていた頃は、目の前の模試の偏差値、志望校判定、過去問の点数、そして2月の合否がすべてのように感じていました。
でも10年以上経ってみると、それだけではありませんでした。
第一志望には落ちました。
想定していなかった私立中へ進みました。
教育費もかなりかかりました。
親も大変でした。
それでも、長男はその学校を卒業し、大学へ進み、24歳になった今でも母校へ顔を出します。
本人に「私立中に行ってよかったこと」を聞けば、「環境」と答えました。
だから今は、
中学受験は、合格した学校の名前だけで成功や失敗を決められるものではない
と思っています。
もちろん、これは我が家の話です。
違う選択をして、よかったと思っているご家庭もたくさんあるでしょう。 中学受験をしないという選択も、高校受験を選ぶという選択もあります。
このページではこれからも、Xで多くの方と話題になったテーマについて、その後の話や、投稿では書ききれなかったことを少しずつ追加していきます。
どこか一つでも、皆さんの家庭で教育や進路を考える材料になればうれしいです。